2015年2月17日火曜日

苫小牧年末セミナー


長田です。しばらく空いてしまいましたが、今回は、苫小牧研究林で毎年年末におこなわれている職員向けのセミナーを紹介したいと思います。職員の皆さんには研究林を使った研究、宿泊などさまざまな面でお世話になっているため、学生や研究者が研究林を利用してどのようなことを行っているかを理解していただくことが目的です。今回は苫小牧研究林の紹介を兼ねて、昨年末におこなわれたこのセミナーの模様をお伝えします。


 年末の忙しい時期におこなわれたため、道外から発表に来ていただくことはできませんでしたが、一部の研究者の方には研究内容の要旨を送っていただきました。それとあわせて、苫小牧や札幌の研究者と学生による発表が行われました。

まずは日浦教授の説明です。さまざまなプロジェクトが行われています。
コンピュータ上で森林の3次元構造を再現しています。画面上で森林がくるくる回ると歓声が上がりました。
中路准教授によるリモートセンシングおよび地下部についての発表です。
院生のLeeさんは、大規模窒素施肥実験を行っている調査区において、窒素負荷が動植物相互作用に与える影響を調べています。日本語での発表に拍手がわきました。
オサムシ研究者の奥崎穣さん(北大フィールドセンター)の発表です。節々にオサムシ愛が伝わってきます。夜の飲み会も絶好調でした。
シジュウカラ研究者油田照秋さん(北大動物生態)の発表です。苫小牧研究林で長期的にシジュウカラを追っている貴重な研究です。研究林がいかに調査に適しているかについて力説してくださいました。
同じくシジュウカラ研究者乃美大祐さん(北大動物生態)です。シジュウカラの繁殖の話をしてくださいました。乃美さんはいつもにこにこしています。
虫博士丹羽慈さん(自然研)の発表です。モニタリングサイト1000というプロジェクトでおこなっている全国の地表徘徊性昆虫や鳥類の長期モニタリングについての説明です。
佐伯いく代さん(筑波大)の代理で丹羽さんによるサッポロマイマイについての発表です。ジャングルジムを使って木に登るカタツムリの調査をしています。
宮崎祐子さん(岡山大)の代理での日浦教授の発表です。森林内に建てられたジャングルジムの上に温室をつくり、樹冠の枝の温暖化実験をおこなっています。詳しくはここを参照してください。

ふむふむと説明を聞く職員の皆さんです。

以上のように、森林の炭素フラックスやフェノロジーの研究、温暖化実験や窒素施肥実験、シカが森林の樹木や甲虫、物質循環に与える影響などについての発表が行われました(写真撮影:天野創さん)。


苫小牧研究林ではこのようにさまざまな研究が行われています。日本の他の森林にはない特徴として、ほぼ平坦地にあるために操作実験が行いやすく、窒素施肥実験やシカ柵によるシカ排除などの大規模操作実験が行われていること、また、林冠にアクセスするためのクレーンやジャングルジムなどの設備が充実しており、林冠研究が盛んであることがあげられます。当教育拠点を利用した研究もたくさん行われています(東北大・山口大輔さん岡山大・谷岡千春さん東京農工大・飯田泰地さんなど)。

これを読んで苫小牧研究林に興味をもった方はぜひ連絡していただけたらと思います。皆さんの積極的な利用をお待ちしています。

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